2012年4月7日土曜日

[Movie][映画鑑賞]ものすごくうるさくて、ありえないほど近い




9・11テロで最愛の父を亡くした少年オスカーは、クローゼットで見つけた1本の鍵を手に、父親が残したメッセージを求めてニューヨークで鍵穴探しをはじめる。

突然父を失い、自分の世界に大きな穴が空いた少年オスカーの、戸惑いと誰にぶつけていいか分からない苦しみが痛々しく伝わってくる。

その日、父からの最後の電話に出れなかった自分を責め、留守電に残った父の声を繰り返し聞きながら、母に辛く当たる姿は本当に痛々しい。


そんなオスカーが、父の遺品から1本の鍵とブラックという文字を見つける。昔から父は謎かけをする人で、自分はその謎を解くのが好きだった。

オスカーは鍵と文字が父からのメッセージだと考え、ニューヨーク中のブラックという名前の人物を訪問し、鍵に合う扉を探すことにする。

外に飛び出したオスカーはさまざまな人に出会い、話し、夢中で街を歩き回る中で、少しずつ自分と向き合っていく。

この映画のハイライトは、鍵探しの結果、「ブラック」の真相を知って自暴自棄になったオスカーが、自分に対する母の強い思いを知り、愛情に触れ、自分を取り戻すシーンだと思う。オスカー役のトーマス・ホーンがとても良い表情をしていて、じんわりと感動がこみ上げてくる。

映画では1人の少年の視点を通して、9・11で大切なひとを失った人々の悲しみとこころの再生を描いているが、本国アメリカでは、作品の評価について相当な議論があったみたいだ。

アメリカの人にとっては、映像として9・11テロを観せられることには、まだまだ抵抗もあるだろうし、苦しい思いもするだろう。それでも、この映画で大きな苦しみを乗り越えようとするオスカーの姿は生々しく、とても勇気づけられるものだと思う。

そういう意味で、製作スタッフは単純な感動映画で終わらせないために苦慮したと思うし、その思いは充分に伝わった。9・11を描いた成功作だと思う。


作品情報
タイトル:ものすごくうるさくて、ありえないほど近い
公開年 :2012年2月18日(日本)
製作国 :アメリカ(2009年)
監督  :スティーブン・ダルドリー
出演  :トーマス・ホーン、トム・ハンクス、サンドラ・ブロックほか
鑑賞媒体:劇場

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