2012年2月16日木曜日

[Movie][映画鑑賞]ドラゴンタトゥーの女


かなり激しい。残虐な匂いがする。
目を覆いたくなるシーンもいくつかある。覆わずに済んだのは、監督のさじ加減がよかったからなのか。感覚が麻痺していたのか。

ドラゴンタトゥーの女はスリラーだ。しかも、デヴィッド・フィンチャーが撮る、飛びきりのスリラーである。

ファイトクラブ以来の魅力的なキャラクタ付きの物件とあれば、観ないわけにはいかない。

「ミレニアム紙の記者ミカエルは、大物実業家の不正を告発するが裁判に敗れ、意気消沈。
そんなミカエルに大企業の元会長ヘンリック・バンゲルが接近し、ある仕事を依頼する。それは、40年前にバンゲル一族が住む島から失踪した少女ハリエット事件調査だった。調査は難航するが、粘り強く新たな手がかりを見つけていくミカエルは、背中にタトゥーを持つハッカーリスベットと共に事件の真相に迫っていく。」



ルーニー・マーラは、不安定で神経質で過激な性質を持ち合わせたリスベットを好演している。

自分をレイプした福祉担当のおっさんに復讐するシーンのような激情の顔と、淡々と黙々と調査し続ける分析家の顔。この2面性がとてもバランスよく演じ分けられていることにより、リスベットの印象がとても複雑になる。嫌悪だけでも、同情だけでも、共感だけでもない、何とも言えない視線を向けることになった。

単純な善悪で切り分けられないキャラクタほど魅力的な存在はない。改めてそう感じた。

もちろん、ダニエル・クレイグ演じる良識あるミカエルの存在も大きい。007のイメージがあるにも関わらず、スパイ技で何とかしてしまう感が全くなく、鋭い洞察で真実に迫る(迫りすぎてやばい目に遭うわけで)姿は、新鮮だった。

ただし、キャラクタが魅力的なわりに、事件の結末は印象が薄かったかな。凄惨だけれども、ありそうという感じ。ミカエルとしては、ハッピーエンドで、リスベットとしてはバッドエンドなのかな。

あぁ、またキャラクタに戻ってきた。つまるところキャラクタ映画ということなのだろう。
フィンチャーもすごく丁寧にキャラクタを配している。

そのほか印象に残ったのは、映像の中で随所に置かれた写真。事件の真相解明に写真が大きな役割を果たすとあって、写真の使い方、表現(誰がキーとなる写真か)は、とても細部まで計算されていて、ゾクゾクした。

案内によると本編は160分の長編らしいが、展開に夢中であっという間に観終わった。
最後まで観客を引っ張っていく力は十分にある作品。
ぜひ、次回作も撮って欲しい。

その前に原作読むか。

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