2012年2月8日水曜日

[Movie][映画鑑賞]100,000年後の安全

映画「100,000年後の安全」は、世界で初めて放射性廃棄物を恒久的に閉じ込める処分場を作るプロジェクトを描いたドキュメンタリー。

フィンランドにあるオンカロと呼ばれるその処分場は、地下500メートルの深さに達する。蟻の巣のように入り組みながら、その広大な領域に、フィンランドの原発から廃棄される今後100年分の放射性物質を格納する予定だ。
その後、放射性物質が無害となる100,000年後まで、オンカロは自立的(人間の手を必要としない)に稼働する。

放射性物質を100,000年もの間、誰にも触れさせず安定した環境で保全するのは相当に難しいことがわかる。
環境的要因だけ見ても安定した状態をつくりだせるものか、推測しかできないだろう。地震大国日本では、確実に無理だと感じる。

環境が整ったとして、皮肉にも閉じ込められた放射性物質を暴こうとするのは、人間だと想定されている。実際、この映画のコンセプトの1つは100,000年後の人間たちへの問いかけだ。

どれだけ、厳重にコンクリートで塗固めても、そこに”何か”がある限り、人間の好奇心は暴こうとするだろう。

どれだけ、その”何か”の危険性を訴えるすべを用意しても、100,000年後の人間に伝わるかはわからない。

非常に興味深いことに、放射性物質を閉じ込める知恵は、古代ピラミッドをつくるための知恵に相応しい。ピラミッドのそれは、王の遺骸と、そのまわりに納められた宝物を守るためだが、放射性物質が宝物にあたるとは考えたことがなかった。確かに未来人から見れば、お宝なのかもしれない。彼らは喜んで、研究対象と見なすのかもしれない。

100,000年もの期間、不確かな状況の中で、保全し続けなければいけない。
どれだけエネルギー効率が良かろうと、そんな”何か”を必要とする世の中は変えないといけないのだろう。

放射性物質を無害化する研究が、成功する未来があるかもしれないが、その逆も同じくあり得るのだから。

作品情報
タイトル:100,000年後の安全
公開年 :2011年4月2日(日本)
製作国 :デンマーク(2010年)
監督  :マイケル・マドセン

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